うつ病の磁気刺激治療のメカニズムについて
現在のところ、磁気刺激治療がなぜうつ病に効くのかのメカニズムはよく判っていません。
まず磁気変化によって生じる渦電流が介在ニューロン軸索(第二層)を刺激し、興奮した介在ニューロンが二次的に表層の錐体細胞を刺激すると考えられます。
興奮は、連合線維、交連線維、投射線維を伝わって深部に伝搬していき内在性ドーパミンの放出増加、脳由来神経栄養因子BDNFの増加につながります。
このことが、ニューロンの可塑性変化をおこし神経細胞の新生、新しいシナプスの形成、ネットワークの形成につながります。
回路的に錐体細胞の興奮は、線条体・VMPFC領域に伝わりドーパミン放出を促し、BA25領域・扁桃体には抑制性のシグナルが伝わります。
記憶にかかわる海馬は帯状束を介して刺激され、神経新生が起こると考えられています。
うつ状態の改善に伴い、認知機能が回復していくのとよく符合しています。
抗うつ薬は、表層の錐体細胞には到達しにくく従って作用しにくいのに反し、磁気刺激は、表層から出発しダイナミックな脳機能の改善を起こしていきます。