最近のTMS(磁気刺激治療)症例報告16
難治性うつ病~躁うつ病
女性 20歳代
むかしから人間関係が苦手な方でしたが、社会人3年目で会社から高ストレスを受けて呼吸困難をおこし、無気力、抑うつ気分が強くなり、また月経前後の下腹部痛、腰痛、悪心が憎悪していきました。
一方で急に多弁になったり買い物をし過ぎるなどの行為も見られました。来院時SDSは52の高値でした。サインバルタ、イフェクサー、ジェイゾロフト、デプロメールまたラミクタールなどの薬物に対する反応性が悪く、3か月、6か月におよぶ休職を2回とりましたが改善が見られず、初診から2年以上経過した時点でのSDSが65と悪化していたためTMSを導入することになりました。薬物療法は効果がなかったことになります。
40分のTMS3回目で不安感が減少しはじめ、7回目で安堵感が出るようになりました。しかし「1回抜くとつらい」とまだまだ不安定でした。20回終了時のSDSは49で大幅な改善はみられたもののまだ不十分であるので、さらにTMSを続行しました。どんどん表情はあかるくなり口調にも落ち着きと安定性が出てきました。40回目のSDSは33で素晴らしい改善がみられたので、TMS終了としました。現在、妊娠のための減薬が可能になり、どんどん薬が減っています。
本症例からわかることは、①難治性の場合は40分で40回程度の施術が必要であること(時間はかかりますが薬物治療とは比べものになりません。2年以上―103日の差です)②103日間に40回のTMSを行い、1週間に2.7回のTMSを行ったことになり、施術の高頻回性も有効性に寄与したと考えられます。